朝時間の活用は快適な生活の基本です。「早起きは三文の徳」といわれるように、さまざまな面でメリットもあります。そんな朝におすすめなのが「朝ヨガ」です。ヨガを朝時間に取り入れればさらに快適で健康な生活を楽しむことができるでしょう。この記事では、朝ヨガについてその効果やおすすめのポーズ、実施の際のポイントまで紹介していきます。
朝ヨガってどんな効果があるの?
朝ヨガには主に3つの効果が考えられます。1つ目は、自立神経系への効果です。人には自分の意志とは無関係に働く神経があります。これを自律神経とよび、交感神経と副交感神経という対称的な働きをする2つの系統にわけられます。交感神経は緊張状態やストレスがかかっているときに活性化し、逆に副交感神経はリラックス状態や休息時に働くのです。眠っているときには副交感神経が優位になっているため、朝ヨガをして身体を刺激すると交感神経を活性化することができます。頭がすっきり切り替わるので身体と心を上手に整えることができます。朝の時間に余裕が出ると穏やかな気持ちで1日がスタートできるため、最高のパフォーマンスを発揮できることでしょう。
2つ目は、骨盤矯正効果です。骨盤の状態は時間とともに変化します。朝は骨盤が閉じている状態で、夜にかけて徐々に開いてゆきます。これは自然なことなのですが、骨盤が開いた状態は、特に女性にとってあまりよいことがありません。日中のデスクワークをする時間帯では、集中力の維持に影響があるといわれています。また、骨盤が開いた状態が長く続くと、骨盤自体や内臓を固定し支えている筋肉が衰えてしまったり、下半身に脂肪がつきやすくなってしまったりします。そこで、最も骨盤が閉じた状態の朝にヨガを行うことで骨盤矯正が期待できるのです。
3つ目は、基礎代謝の向上効果です。起床直後の朝は一日の中で最も体温が低い時間帯です。そして、食事を摂ってから時間が経っているので身体は血糖値が低い状態になっています。この状態は脂肪が最も燃えやすいため、朝の時間に有酸素運動を行うと体脂肪を減らせるのです。特に、呼吸を重視するヨガであれば、酸素を十分に取り込めるので脂肪燃焼を加速させます。そして、定期的に続けていれば基礎代謝を上げることにもつながります。つまり、太りにくい身体になれるわけです。
朝ヨガの頻度・時間配分は?
朝ヨガに限らず、ヨガには基本的にこのくらいやった方がよいという目安はありません。重要なことは、自分の体の状態に合わせて行うことです。体調がすぐれないときには無理してやる必要もありません。自分の身体のことは、結局は自分にしかわからないので、身体と心の状態を確認しながらヨガを楽しみましょう。そうはいっても、忙しい朝の時間を有効に活用するためには、日々の生活の中でヨガを習慣化しておくのはよいことです。ヨガが全くの初心者であれば、週に1度程度、1時間または1時間半ほど行うことができれば身体は徐々に慣れてくるでしょう。
書籍やDVDなどを見てポーズの参考にするのもよいですが、スタジオでインストラクターの動きに合わせてポーズをとるレッスンを受けるのもおすすめです。最初は週末などに開催されるヨガのクラスに通ってみるとコツがつかめるようになり、怪我をしないためのポージングの注意点も学べます。慣れてきたら、自宅のリビングなどのスペースで楽しむこともできます。
時間に都合がつくのであれば、ぜひ毎朝やってみると、自分の身体の変化を早く知ることができるでしょう。多くのヨガインストラクターは、1週間に1度だけ数時間のヨガをするより、10分間でもよいので時間を決めて毎日行うことを推奨しています。朝の時間に余裕があるのなら、スタジオでのレッスンと同じように1時間または1時間半ほどできれば理想的ですが、短い時間でも毎日続けると効果が目に見えて実感できるでしょう。
さらに可能であれば毎日同じポーズを行ってみましょう。このメリットに、自分の身体と心の変化に気がつけることが挙げられます。おなじポーズの繰り返しには、その日の体調を確認する効果があるのです。たとえば、昨日は大丈夫だったのに、今日は手首がちょっと痛いことに気がつく、などです。このような変化がわかっていれば、その日は手首に無理をかけないために意識したり予防策をとっておけます。そうすれば、通院しなければならなくなるような、より深刻な事態を防ぐことができるのです。
ヨガのポーズは呼吸をしっかり意識しながら、ゆっくり身体を動かすので、無理なく有酸素運動が楽しめます。これを続ければ、肺活量や筋肉量が増えるので基礎代謝も上がり、ダイエット効果なども期待できます。
朝ヨガにおすすめのポーズ
ヨガには多くのポーズがあります。朝ヨガの効果やメリットは説明しましたが、具体的にどのようなポーズがおすすめなのでしょうか。ここでいくつかの朝ヨガ向きのポーズを紹介します。習慣にできれば、身体と心が安定した快適な生活を楽しめるきっかけになることでしょう。
ポーズ①ワニのポーズ
ヨガには大きく分けて立位系(立っておこなうもの)、座位系(座っておこなうもの)、膝立系(膝を立てておこなうもの)などのポーズがあります。ワニのポーズは代表的な座位系のポーズの1つで、ヨガマットの上に仰向けに寝転んだ状態から始めます。ポイントは、腹部をねじることによって腰と背骨に刺激を与える点です。腹部の奥にある内臓も刺激されるので、大腸や小腸の働きを促進する効果もあります。このポーズでは、全身の血流をうながし、エネルギーの流れをサポートすることができるため、朝のスッキリした目覚めを十分に感じることができます。
まず、仰向けの姿勢から右膝を手前に引き寄せて、両手で抱え込みます。このとき、胸に引き寄せるイメージを持ちましょう。次に、左手を右膝の右側に当てつつ、息を吐きながらゆっくりと左の床に近づけます。息を吐ききったら、吸いながら上半身を右側にねじります。同時に右手は右側に開いて、胸の高さで床におろしましょう。右膝が浮きそうになるので、膝の上から左手でやさしく押えておきます。腹部のねじりを感じながら3〜5回程度呼吸を繰り返します。ゆっくり脚と腕を開放して仰向けにもどったら、反対側も同じように行いましょう。
ポーズ②太陽礼拝のポーズ
「一日の始まりに太陽に挨拶し、その恵みに感謝する」という意味が込められている太陽礼拝のポーズはヨガの基本といわれています。というのは、このポーズの一連の流れに立位や座位の基本ポーズがバランスよく含まれているからです。前屈や後屈などの動きが繰り返し行われて、全身が伸びていくことを確かに感じることができます。ゆっくりと流れるような動きを「フロー」とよびますが、呼吸と身体の動きをシンクロさせつつ、フローさせていくのが太陽礼拝のポーズのポイントです。時間がない朝なら、1回やるだけであれば5分もかかりません。それでも身体が目覚める感覚を味わうことが出来るでしょう。なお、太陽礼拝のポーズにはいくつかのバリエーションがあり、ここではアシュタンガ・ヨガのAタイプを紹介します。
まず、足をそろえて真っ直ぐに立ち、胸の前で手を合わせます。つぎに、息を吸いながら両手を天井に向かって伸ばし、息を吐きながら腰を中心に前屈して両手を床につけましょう。息を吸いながら、両手は床につけたまま頭を前に向けて、真っすぐ伸ばした脚と身体と腕で「三角形」を作ります。次の吐く息で、右脚を後ろに伸ばし、つま先が床についたら左脚も同じように後ろに伸ばします。ちょうど腕立て伏せのような姿勢になるので、そのまま両肘をまげて、身体を床に近づけましょう。そこから、息を吸いながら両腕を支えにして身体を前にずらし、後ろ向きに反り返り天井を見ます。
次に、息を吐きながらここで、お尻を高く持ち上げて、腰を中心に脚と身体と腕で三角形をつくります。この姿勢のまま、深く5回呼吸をしましょう。呼吸が終わったら、息を吸いながら右足を右手の横まで戻し、次に左足を左脚の横に戻して、最初の「三角形」を作ります。一旦、息を吐いて頭を下げて、両足の裏側の伸びを感じます。最後に、両手を天井に向けて高く上げてから、最初の直立姿勢にもどります。
ポーズ③ガス抜きのポーズ
ガス抜きのポーズでは、両ひざを抱えたまま背中や腰を前後左右に動かすので、就寝中に凝り固まってしまった背中や背骨、腰の筋肉をほぐしてくれます。また、名前の通り腸に溜まったガスを排出してくれる効果もあり、全身のほぐし効果を得ることもできる万能なポーズです。まず、仰向けになり、アゴは軽く引いておきながら両膝を抱えます。次に息を吐きながら両膝とおでこを近づけます。そのまま、数回呼吸をしましょう。最後にゆっくりと頭を床におろして、両腕と両脚を左右に広げてリラックスします。
ポーズ④三日月のポーズ
膝立系の代表的なものが三日月のポーズです。脇や脚の付け根などのリンパが集結するような部分を刺激して、身体の目覚めを促します。つま先や指先などの体の先端部分に意識を向けながらポーズを作るようにすると、体内の血の巡りが良くなって代謝が活発になり、脂肪燃焼効果も期待できます。まず、マットの中央で両膝を立てた状態から始めましょう。左脚を一歩前に出して、両手を左膝に乗せます。右手を後ろ足の太ももに起き、吸う息で左腕を大きく回し上げ、腰を落とします。ポイントは左脚の付け根部分にしっかり伸びを感じるかどうかです。そのままの姿勢で5回呼吸をしましょう。もとの姿勢に戻ったら、反対側も同じように行います。
朝ヨガの時に意識すべきこととは?
朝起きてすぐにヨガを始めるのではなく、まずトイレに行き排便・排尿を済ませて身体を軽くしておきます。可能であれば、シャワーを浴びて清潔な状態で行うのがおすすめです。天気が良ければ、一旦外に出て朝日を浴びておくと体内時計がリセットされ、朝ヨガの効果も上がるでしょう。さらに、最も重要なポイントは朝食を取る前におこなう点です。ヨガには身体をねじる動作などが多いので、食後に行うと内蔵に負担がかかり、体調を崩すことがあります。なお、朝ヨガに限らず、ヨガのときは裸足が基本です。裸足の状態で足の裏から大地のエネルギーを吸収するイメージで楽しみましょう。
朝ヨガの習慣化は健康への近道!
朝のタイミングで行うヨガは体調を整える方法としては最適です。なるべく毎日の習慣として意識して取り組めば、身体と心のバランスの取れた健康的な生活が送れるようになるでしょう。ウェルトリではヨガインストラクターと行く複数のリトリートツアーを用意しているので、自分にあったツアーが選べます。お気に入りのインストラクターの方と大自然でヨガを行い、心身ともにリフレッシュして健康な身体を手に入れましょう。