インターネット記事やSNSなどでよく話題になる「ファスティング」は、食事を摂らずに体の毒素を排出することを目的としています。ファスティングは、具体的にはどのような方法で行うもので、どのような効果を期待できるのでしょうか。この記事では、ファスティングの魅力や正しい方法、そしてより高い効果を得るためにおすすめのリゾートファスティングについて説明します。

「ファスティング」って？何をすること？

ファスティングとは、簡単に言うと「断食」のことです。とはいえ、宗教的な行事として行われるもののように、精神的な強化を目的としているわけではありません。健康・美容・ダイエットのため、そして体の不調を治療する目的で行われるもので、健やかな体作りを目指しています。

ファスティングは、「固形物を食べないこと」と言い換えることも可能です。ファスティング期間中は、体が必要とする水分をきちんと補給するとともに、必要に応じて経口補水液などを利用して塩分を摂取することもできます。水分を取っても固形物は食べないので、胃をはじめとする内臓に休息を与えることができます。

「毒素」を溜めるとどうなるの？

ファスティングがもたらすデトックス効果についてもう少し詳しく説明しましょう。そもそもデトックスはなぜ必要なのでしょうか。デトックスの必要性について知るには、体に毒素が溜まってしまう理由やそのデメリットについて理解しておく必要があります。

私たちは日頃、さまざまなものを口にしています。その中でも注意したいのは、動物性タンパク質や砂糖が多く入った菓子、酵素があまり含まれていない食べ物などです。こうしたものを食べ続けたり食べ過ぎたりすると消化不良を起こし、その結果、胃や小腸、大腸に腐敗菌が増えてしまいます。この腐敗菌が生み出すアンモニアが、肝臓障害などの慢性の病気やがんを引き起こすといわれています。

ファスティングの健康への効果

ファスティングが健康にもたらす効果の一つは、すでに取り上げた通りデトックスができることです。固形物を口にせず内臓を休めることにより、長い期間に渡って蓄積された有害物質を排出できます。内臓が休息することにより腸内環境が整えられるため、免疫力アップや新陳代謝アップにもつながります。普段、食事をすることによってどうしても摂取してしまう食品添加物や残留農薬などの有害物質を分解するために、代謝酵素や消化酵素が使われています。しかし、ファスティングによりそうした有害なものの摂取がストップすると、免疫細胞や酵素が無駄に使われることがなくなるので、免疫力や新陳代謝が改善されるのです。

別の効果は、質のいい睡眠が取れるようになることです。空腹状態になると、脳から気持ちを安定させるためにアルファ波が分泌されます。それにより交感神経の働きがゆるまり、就寝時にはリラックスした状態になれるのです。また、一定期間消化と吸収のプロセスを休んだことで、栄養の吸収がスムーズになるという効果も期待できます。消化器官が持つ本来の機能が高まり、少ない食事量でもしっかり栄養を吸収できるようになります。つまり、ファスティングは体をリフレッシュしつつ、丈夫な体を作るのに役立つプロセスなのです。

ファスティングの美容・ダイエットへの効果

ファスティングは健康面だけでなく、美容やダイエットにも効果をもたらします。胃腸や肝臓、腎臓の機能が改善し、老廃物の排泄が促されると、血液中の毒素も排出されます。血液中の毒素はニキビなど肌荒れの原因となるので、ファスティングをすると肌荒れが改善され、肌の調子がよくなるのを感じるでしょう。不要な水分を排出することで、太って見えがちなむくみを改善することもできます。細胞の新陳代謝が向上することで全身が生き生きとして、若返ったようにも見えます。

ファスティングは、ダイエットをしたい人にもおすすめです。有害物質を取りすぎると体内の処理能力が追いつかなくなり、脂肪などに溜まってしまいます。しかし、ファスティングによって摂取カロリーを激減させると、不足しているカロリーを補おうとして脂肪が分解され、体外へと排出されます。消化不良による胃もたれや老廃物の蓄積による便秘が解消されることで、文字通り体が軽くなったようにも感じられるでしょう。

「酵素ファスティング」とそのメリット

ファスティングと言ってもさまざまな種類や方法がありますが、その一つが「酵素ファスティング」です。酵素ファスティングとは、ファスティング期間中に酵素ドリンクしか飲まないというものです。酵素ドリンクにより、人体が必要とする最低限のカロリーやビタミン、ミネラルなどは摂取できます。空腹感に耐えられなくなる可能性が低く、リバウンドしにくいといわれています。

酵素ファスティングは、水のみで断食するよりも無理なく行える安全な方法です。酵素ドリンクで必要最低限の栄養を摂取できるので、ファスティング初心者でも始めやすいでしょう。

週末ファスティングに挑戦【準備期】

平日は仕事の付き合いがあり食事の調整が難しい、などという人は週末ファスティングがおすすめです。ここからは、週末にできる酵素ファスティングの方法を準備期・ファスティング期・回復期の3つに分けて紹介します。

週末ファスティングでは、金曜日を準備期とします。準備期とは、ファスティングを始める前に体を整えるウォーミングアップのようなものです。断食に体を慣らすために、固形物は口にしないようにします。特に避けたいのは、肉や魚などの動物性食品や乳製品です。砂糖やカフェイン、アルコールやたばこなどの嗜好品も避けます。

食べてもよいのは、お米や野菜、豆類などです。「こ（穀類）・と（唐辛子）・ま（豆類）・ご（ゴマ）・わ（わかめなどの海藻類）・や（野菜）・さ（魚）・し（しいたけなどのキノコ類）・い（いも類）」でおなじみの純和食を基本にするとよいでしょう。

週末ファスティングに挑戦【ファスティング期】

週末ファスティングでは、土曜日がファスティング期となります。ファスティング期は、いよいよ固形物を口にせずに酵素ドリンクを常温で飲んで過ごします。酵素ドリンクといってもさまざまな種類がありますが、何でもよいというわけではありません。添加物の多い酵素ドリンクは避け、鮮度と原材料の産地にこだわったものなど質のよいものを選びましょう。

ファスティング期間中にのどが乾いたら、酵素ドリンク以外に水を飲んでも構いません。可能であれば1日2リットルの水を、常温でこまめに飲みます。水は水道水ではなく、ミネラルウォーターなど良質な水を選ぶようにします。入浴をして体を温めながら発汗を促し、早めに就寝して十分な睡眠時間を確保しましょう。

週末ファスティングに挑戦【回復期】

日曜日は回復期となり、少しずつ食事に体を慣らしていきます。この回復期はファスティングの中でもとても重要なプロセスなので、気をゆるめて一気に食べてしまわないように十分気をつけましょう。突然好き放題に食べてしまうと、体の不調やリバウンドを招く原因となりかねません。ファスティング期にどれほど頑張っても、回復期の過ごし方によっては意味のないものとなってしまうことがあるのです。

回復期は、準備期と同じように体にやさしい食材を少しずつ摂ります。いきなり普通の食事をするのではなく、まずはおかゆや具なしのお味噌汁などで体を慣らします。特に望ましいのは、消化器官の働きを補助する食物繊維や発酵食品です。手作りのスムージーやフレッシュジュースなど、体に負担の少ないものを間食に取り入れることもできます。

ファスティングで注意したいこと

さまざまな効果を期待できるファスティングにも、気をつけたいことがあります。重い病気の治療をしている人や、極端に体力がない、または貧血であるという人は注意が必要です。ファスティングは健康な人向けの断食方法なので、自己判断で無理に行うことは避けましょう。気がかりな点があるなら、まずは医師に相談してみるのがおすすめです。

また、やせたい気持ちが強いあまりに、極端な断食をすることも絶対にしてはいけません。無理な断食をすると、倒れたり生理が止まったりするなど、体の不調を引き起こす恐れがあります。ファスティングは正しいやり方で行えば危険なものではありませんが、できれば専門家の指導のもとに行うのが望ましいでしょう。健康な人でも体調が悪いときには避けたほうがよい場合もあるので、決して自己流で行わないことが大切です。

さらに効果的なファスティングのために

ここまで食事に関連してデトックスやファスティングについて説明してきましたが、人間の体に溜まっている毒素は食事によるものだけではありません。日々生活しているうちに、車の排気ガスなどよくない物質が体に蓄積されてしまいます。さまざまな臭いや、パソコンやスマホのブルーライトなど、人間の体はたくさんのストレスがかかって疲弊しています。

せっかくファスティングで体をリフレッシュさせるなら、その期間は街中の喧騒から離れて自然の中で過ごしてみるのはどうでしょうか。旅とファスティングを一緒に行えば、体と心の両方をいたわって心身ともに健康を目指せます。断食プランのあるツアーやホテルなどを賢く活用して、心と身体をすっきりと整える素敵な旅行を計画してみましょう。