「もし、美しい海でウミガメと一緒に泳げたら」と想像したとき、気持ちが癒される人もいるのではないでしょうか。日本で野生のウミガメに会えるスポットは少ないと思われがちですが、実は多く存在しています。この記事では「海で泳ぐのが好き」「ウミガメが好き」という人におすすめのウミガメに会えるダイビングスポットやウミガメの種類などについて紹介します。
ウミガメの生態系
ダイビングをしているときに会える可能性が高いウミガメは熱帯や亜熱帯の海に生息しており、世界中で8種類存在しています。ウミガメ科とオサガメ科があります。日本近海で確認されているのは、ウミガメ科のアカウミガメ・アオウミガメ・タイマイ・ヒメウミガメ、オサガメ科のオサガメの5種類です。その中でもダイビング中に会いやすいのはアカウミガメやアオウミガメ・タイマイの3種類で、それぞれ生息地が違います。アカウミガメは南日本~南西諸島、アオウミガメは本州南岸~南西諸島や伊豆諸島~小笠原諸島、タイマイは南西諸島南部で会いやすいです。
ちなみに、ウミガメの好物は藻で、浅瀬に生えているものを食べに来るときに会える確率が高いです。現在、ウミガメの生息数は年々激減しており、日本で産卵しているアカウミガメ・アオウミガメ・タイマイも絶滅危惧種に認定されています。生息数が減っている原因は砂浜の環境の悪化や漁業で乱獲されている現状などだといわれています。日本国内でもウミガメの保護をするとともに生態研究がされていますが、ダイバーの目撃情報も研究データとして役立っているのです。
日本近海に生息するウミガメの種類
こちらでは、日本近海で会えるウミガメの種類について紹介します。
アカウミガメ
「アカウミガメ」は、基本的に外洋の沖合に生息しています。外見は赤褐色もしくは褐色の甲羅をしており、アオウミガメより一回り小さなサイズです。成長すると70~100cmほどの大きさに成長し、頭が大きめで丈夫なのが特徴となっています。これは、エビなどの甲殻類や貝類など硬いものを好んで食べているからです。アオウミガメやタイマイと比較すると会える確率は低く、ダイビング中に見かけることも非常に珍しいウミガメです。日本沿岸で誕生したアカウミガメは、太平洋を横断してメキシコ・アメリカ沿岸を回遊しながら成長します。大人になると再び日本近海へ戻り、繁殖をするのです。繁殖期は3~7月頃なので、この時期に沿岸に来るアカウミガメと会える可能性が高いです。
アオウミガメ
肉食のアカウミガメに対して「アオウミガメ」は草食で、主に海草や海藻を食べます。ただ、時折、クラゲを食べている光景も目撃されています。アオウミガメと名付けられたのは体の色ではなく、体脂肪が青緑がかっていることからきており、甲羅の色は青緑や褐色などさまざまです。太平洋・大西洋・インド洋などのほか、日本近海にも生息しています。アオウミガメはウミガメの中でも最大種の1つで、体長90~110cm・体重は最高320kgまで成長します。頭は小さめで顔立ちは優しく、楕円形の甲羅が特徴です。伊豆諸島・小笠原諸島は産卵地として有名で、目撃情報も多くあります。
タイマイ
ダイビングしているときに最も出会う機会が多いのが「タイマイ」です。タイマイの特徴は美しい甲羅で、黄色と黒褐色の美しいモザイク模様はべっ甲の材料に利用されてきました。しかし、それゆえに長年乱獲された結果、絶滅危惧種に認定されています。タイマイの特徴は甲羅の縁がギザギザしている点で、細長い頭部と尖った口先を持っています。成長したときのサイズは70~90cmほどです。サンゴ礁がある浅い海を好み、日本では沖縄が産卵地となっています。タイマイはガレキサンゴやカイメンを主食としているので、タイミングが合えばゆっくりと海底で食べている様子を見られます。
ウミガメに遭遇しやすい時期
ウミガメに会いやすい時期は、ずばり産卵時期である5~8月です。産卵する場所を探し、浅い海まで集まってくるのでダイビング中に遭遇するチャンスも増えます。産卵中はウミガメにストレスを与えないようにするため、遠くから観察するだけにしましょう。卵に触れて傷つけたり、不用意にライトを当てたりしないように気をつけなければなりません。産卵後のウミガメは海に反射している月のわずかに明るい光を頼りに帰りますが、ライトの光を感じると海岸側を海だと勘違いして帰れなくなるからです。毎年、母ガメだけではなく、生まれたばかりの子ガメ達も人間が当てたライトの光を月の光だと勘違いして、海へ帰れなくなるケースが少なくありません。子ガメの個体数が減少すれば、絶滅危惧種のウミガメの個体数もますます減るので、陸上でも水中でもルールには必ず従うのが重要です。
ウミガメの接し方
ウミガメと出会ったときに自由に触れ合いたいと思う人は多いですが、絶滅危惧種になっている種もいるため、接し方のルールが決められています。こちらでは、ウミガメと出会ったときにどう接したら良いかを紹介します。
陸上での接し方
ウミガメを発見したとき、つい触りたくなる人もいるかもしれません。しかし、ウミガメと陸上で出会っても、触ることは禁止されているので注意しましょう。たとえば、ハワイではウミガメと出会う機会は非常に多いですが、ウミガメの周囲4.5m以内に近づくのは禁止されています。もし、このルールを破った場合は罰金500ドルを支払う義務があります。ボランティアの監視員がおり、陸上にいる間はウミガメの周囲に赤いロープがひかれ、立ち入り禁止になるのです。
ウミガメは貴重な存在として、接触が禁止されている国も多いのでルールを確認しておきましょう。日本国内でも一部の地域ではウミガメやその卵、産卵地などが天然記念物になっています。ウミガメに触れてはいけないほか、産卵した卵を勝手に移動・持ち運ぶのも禁止されているので注意しましょう。また、時々ウミガメの死骸が砂浜にあるときもありますが、そのようなときも環境事務所へ連絡を入れる必要があります。砂浜に打ち上げられたウミガメの死因を知り、生態の研究につなげているからです。
水中での接し方
陸上でウミガメに触れることは禁止されていますが、水中にいるときもダイビングでは水中生物に触れてはいけないルールがあります。しかし、近づくのは許可されているので、もし、水中で見かけて側まで近づきたいときは「ゆっくり」「優しく」がポイントです。ウミガメは食事をしたり、休憩したりする際にサンゴなどで止まっているときがあるので、そのときが近くで観察できるチャンスです。ウミガメを初めて見たときは嬉しさで興奮して近寄りそうになるかもしれませんが、驚いたウミガメは逃げてしまうので気をつけましょう。ウミガメは水中で泳ぐときは非常に高速なので、人間が追いかけようとしても追いつくのは不可能に近いです。
稀に、水面での呼吸タイムから戻る途中のウミガメに遭遇するときもあります。そのようなときは、ウミガメが向かおうとしている方向を読んで待っているのがおすすめです。ウミガメによっては想像より高速で下降してくるので、避けてぶつからないようにします。陸上で会ったときと同様に、水中でもできるだけウミガメにストレスを与えないようにしなければなりません。
ウミガメに会える可能性が高いダイビングスポット
日本でウミガメに会えるスポットは各地に存在しており、特に沖縄は6つのスポットで会える可能性が高いです。沖縄本島はもちろん、ケラマ諸島や久米島・宮古諸島・石垣島・西表島など観光スポットとして有名な場所でウミガメと出会えることが期待できます。ほかにも、屋久島・ヨロン島・奄美大島・伊豆諸島(八景島・式根島)・小笠原諸島なども遭遇スポットとして知られています。
スポットによって遭遇率は違いますが、奄美大島でのウミガメ遭遇率はなんと98%!
エメラルドグリーンの海でウミガメと思う存分触れあってみましょう!初めての方でもホテルなどが提供するプランを活用すれば安心してウミガメと遊べます。奄美大島の豊かな自然と神秘な海に囲まれ、ウミガメと共に泳ぎるのは贅沢ですよね。
90%以上の確率でウミガメと会えるのは「屋久島」です。屋久島は島の至るところでウミガメと遭遇可能で、アオウミガメ・アカウミガメ・タイマイという絶滅危惧種になっている3種類すべてに出会えるのも特徴です。3種類の中でもアオウミガメは島のさまざまな場所に住み着いており、5~7月の産卵期には1晩で砂浜に数十匹が産卵している様子を見ることができます。八丈島もアオウミガメが90%以上を占め、アカウミガメやタイマイと出会えるのは稀です。個体識別できる個体も多く、人懐っこいので近くで観察しやすいです。
また、海底温泉が好きなウミガメもいます。式根島の御釜湾にある海中温泉ではアオウミガメが常に3匹以上いるので、出会う確率は非常に高いです。多い日は10匹以上がリラックスした状態で温泉を楽しんでおり、かなり近くまで近寄れるのも人気となっています。式根島のように温泉を楽しむウミガメが見られるスポットはレアです。久米島のグランビュータートルは、1回のダイビングで30匹以上のウミガメに出会える可能性が高いスポットです。久米島も90%以上がアオウミガメで、時々アカウミガメやタイマイもやってきます。同じく久米島のウーマガイでは人好きなウミガメもおり、自分から近寄ってくる個体も存在しています。
伊豆半島の川奈ビーチで出会えるのはアオウミガメのみですが、都心から2時間半という近さなので思いついたときにすぐウミガメに会いに行けるのが大きなメリットです。水深が浅めの場所でダイビングしているときに出会える可能性も高く、ダイビング初心者も気軽に体験できます。どれだけ近づけるかは個体差があるので、ウミガメの様子を見ながら近づき方を変えるのがおすすめです。
ウミガメのいる海へ!
ウミガメと会えるスポットは美しい自然・さまざまな生態系であふれた場所です。そのような場所は癒やしを感じ、日ごろの疲れやストレスを忘れられるスポットでもあります。1つだけ注意すべき点といえば、「ウミガメや卵に触れない」など決められたルールを守って交流することです。リフレッシュのために、ウミガメと出会える熱帯地方の海へ出かけてみましょう。
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